今度の主役は、“ボラット”と並ぶコーエンの人気キャラクター、ゲイのオーストリア人ファッション・レポーター“ブルーノ”! ハリウッドでセレブになるため、手段を選ばない突撃取材や企画で大暴走!! またもや大問題を引き起こす。
Brüno 2009年
感想
監督はラリー・チャールズ。
「ブルーノ」はサシャ・バロン・コーエンが演じているけれど、やらせは少ないという曰く付き。
ユダヤ系イギリス人のコーエンがあぶり出したのはアメリカである。
アメリカ人のマイケル・ムーアが愚直に描き出すのとは異なり、コーエンは皮肉たっぷりにあぶり出す。
人権派の偽善(人間椅子に座ったぞ!)、セレブの行うラブ&ピースの底の浅さ。セレブの行う「養子縁組」でイメージは上がるけれど実際にアフリカで何が行われてるか想像してみろ。画一的な軍隊の非人間性。狂信的なキリスト教徒のくだらなさ。アンチホモセクシュアル・プロホモセクシュアル双方の底の浅さ。
描き出し方はイギリス人だよなあ、と思う。同時に見せつけるものがある。こんなに「アメリカ人はバカだ」と言っている作品をアメリカで劇場公開させ、さらに全世界に配信しても構わないというアメリカの懐の深さである。これがアメリカ。それこそ、アメリカがアメリカたる所以である。