明朝後期を舞台に、大富豪の武器商一族が内部の権力争いにより衰退していくさまを描く。
原題:武林世家 1985年
感想
オープニングとかなんだかファミコンチックな、レスリー・チャンとマギー・チャンの香港ドラマ時代劇。
武器製造業者の当主の隠し子(レスリー)が現れて・・・という物語。
ホウティン、ええ子すぎるわ・・・。ただ、私はこういう主人公が嫌いなのである。苦手。このキャラクターって典型的な中国の「主人公」の描き方だ。言ってみれば劉備。曹操は決してこういう風に描かれない。
ひでえ。とにかくひどい。
後半、謎の日本人が出てくるんだけども。
王妃になる人がいるんですけど、王妃って和服じゃん。髪型がなんだか微妙だけど和服はそれなりに。と思ったら、下にズボン履いてるじゃん。倭寇の王の王妃になったの?と思ったら藩主夫人らしい・・・
でさあ。なんで藩主が広東語が喋れるんだ。まだ鎖国前なの?でも藩主自ら行かないと思うけどなあ。鎖国前だとちょうど関ヶ原から大坂の陣じゃない?動くに動けないよねえ。しかも日本刀は両手で使うのに、中国の刀は片手だし。で、あの時代に日の丸のはちまきをするかいな?
とか。本当に何もかも突っ込みどころ満載でして。
技術も、80年代のドラマはチープですし。セットもひどいし、マギーもレスリーもメイクが京劇かよ、という感じですし。
一目見て、目から鼻がニコラス・ツェーそっくりの洒脱なおっさんがいて、パトリック・ツェーってわかる。びっくりするほどそっくり。
「職場放棄しよう」という工員ってラウ・チンワン!!
ラウイーの兄って、ン・マンタだ!
というところを見るものですね。
もうちょっと真面目に書くと。
「家」「家」というけれど、ここの言葉は「かー」とか「がー」なので本当に「家」なのだろう。本作では非常に日本のイエ制度に近いもののように描いている。ただ、「メンツ」「メンツ」「メンツ」で愛面子な中国人がよく描かれている。
かなり早い段階で叔父さんが腹黒くてサイコパスな叔父さんだけど、しかし、ハッピーエンドに持ってこないのが香港だなあと。台湾ならハッピーエンドに持って行きそうなのに。
マギーが演じたのは、辺境の地のお姫さまで。中原の女は走ったりできないよ、というが、そうか。纏足してるわけか。でも辺境の地のお姫さまだから「男にできることは女にもできる」なわけだ。
ここで思う。例えば、80年代のアメリカであれば、ウーマンリブ系の作品になるだろう。しかし、保守的な香港である。ホウティンは笑う。「男にできることは女にもできる、か。面白いね、柳城の習慣は」と歩けもしなければ荷物が重すぎる女を休ませながら。80年代の香港作品にどれくらい欧米の影響があったのだろうか。と思いました。
見なくていいよ、これ。