サム(李森)は、かつてアクション監督だった。しかし事故を起こしてすでにアクション監督としてはほぼ引退済み。今は整体師として生計を立てている。旧知の監督が80年代アクションの映画を撮影するとサムを呼び出した。主演は今や大スターのワイ。一方、サムがアクション監督を務めた古い映画を見て育ったロンはスタントを目指しているのだが…
から始まるお話。
2024年
感想
なんと言いますかね。つまんないのよ。機内映画だから「つまんねー」でおしまいだけど。映画館が近くにあるわけではない俺さま、映画館でこれを見させられたら怒るぞ。
サムの人生をとにかくうまくいかないものとして描く。それは、今の香港の姿なのかもしれない。出られる人はもうさっさと出てるから、残ってる人たちは、自他共に認めるルーザーなんだろうな。
「ローカルな作品には出ないんだぞ」というワイ、おそらく中国でアクション俳優をやってるんでしょうかね。今のコンプラの下で。
メガホンを取れば、相変わらずの冷血監督ぶりを見せるサム。だからダメなんだよ。Z世代のロンを見習って、コミニュケーションを図ろうとするけれど、予算がないなら無許可で市中で強盗銃撃戦を繰り広げ、市民を驚かせて病院送りにしてクビになる。
確かに古い香港映画はめちゃくちゃなことをしていたけれどねえ。今、みんな手にカメラを持ってて、「あんなことしやがった」はすべて記録されて、アップされる。そういうところなのよねえ、サムの行動は全て後先考えない。
中華系には多いよね、目先だけの人。なのでサムに共感できる人は少ないと思う。
むしろ、巻き込まれたロンが気の毒で。
だからなんだ、だけど、だからなんだよ?というので終わる。
例えばの話。今のコンプラでは許可なく強盗シーンを撮影すれば、実にリアルな反応を撮影できる代わりに、パニックに陥った市民が怪我をしたり。結果逮捕され、市民に撮影されてアップされて、大スターのイメージは悪化し、周囲の人に大迷惑。
で、一度クビになったけど、最終的にビルから飛び降りるシーンは自分で飛び降りました!ではなんの解決にはならない。香港映画のアクションの火なんてどこにあんのさ。
今のコンプラの中、限られた予算の中でどう撮影するのか。ビルから飛び降りるシーンで解決?
こっちはおじさんがビルから飛び降りるシーンなんて、山のように見てきてる。そこにどんな危険があるのか分かった上で、「しょっぼ」としか言いようがない。
CGの活用とかさ…かつての体当たりだけから、どんだけ変わったのか、とかさ…。
せいぜい90年代末で止まっちゃってる、老スタント監督が、大スターの人脈でスタント装置というかセットというかを借りて、Z世代と一緒にCGを活用して、なんてのもあっていいと思うんですよ。「おいおい、CGを作るだけの資金がないぞ……」「生成AIで解決しました!」とか。生成AIではエグいなら「友達が科技大出のCGクリエイターで。スタジオを建てたばかりなんですよ。スタジオを出資者として出してくれるのを条件に」とか。
2020年代の解決方法、それが「ビルから飛び降りる」程度の安易さでもいいから2020年代半ばらしさを見たいわけですよ。
中国ドラマを見てるといろんなところに「外国人」が出てくる。音楽と衣装は日本人が担当することが結構あって、明らかに日本人だろうなという名前の下に(日本)とある。そういうスタッフロールの中に(中国香港)と書かれた名前がたくさん出てくる。なんでかねえ。中国国内だという建前なのにわざわざ中国香港と書く理由がわからぬ…(すっとぼけ
総監督が香港出身のことも結構あるんだけど、撮影監督、アクション監督などいろんな人たちがいて、ワイヤーアクションのドラマが撮影されるわけよ。その中に香港のアクション出身の人がおそらくいると思う。俳優さんたちが360度回転させられることがあるんだけど、本人がやることもあればスタントがやることもある。本人がアクションしてても敵役(モブ)はスタントとかさ。
香港人ではなくても、かつての香港映画に魅せられて香港に渡って、スタントマンになってという人たちも山のようにいる。日本人スタントが多かったのが「トワイライト」でしたわね。
香港映画のアクションってね、香港に残ってるものだけではないんだよ…
常識人のスターのワイを演じたのが、フィリップ・ン。トワイライトのガウちゃん(王九)と大違いの常識っぷり。
そしてロンを演じたのがテレンス・ラウ。ここまで芋になれるのwwwww