ル・アーヴルの駅前で靴磨きをしている初老の男と行き場のない孤独な少年の出会いと、市井の人々の人間模様を繊細に描く。
Le Havre 2011年
感想
監督はアキ・カウリスマキ。
ということはフィンランド映画、ではなくて、ル・アーヴルはフランスです。
カウリスマキにしては珍しくフランス語作品。カウリスマキのミューズ、カティ・オウティネンは「外国人は」といわれていたので、フィンランド女がフランスでホームレスだった男を拾った、というのだろうか。フランス式にペティナイフで料理していたが、フィンランドの包丁は知らないのだった。そうだ。フィンランドではパンを作っただけで、ホステルの台所にはペティナイフがあった?いや?あれはアメリカか?といろいろ場所がミックスしてくる。
そういえば、「過去のない男」でもカティ・オウティネンは男を拾っていたなあ。そういう感じのする人なのだろうか。「過去のない男」ではぶっきらぼうだったが、今回はもう少し愛嬌がある。ちなみに、フィンランド人の愛嬌のなさは日本人の愛嬌のなさに匹敵する。
「チャング」というのはCheungあたりだろうか。ベトナム人が中国人を装っているのだろうか。
現在、ヨーロッパで大きな問題になっているのはアフリカからの移民。密入国者もそうだが、合法的に認められた移民たちも社会問題になっている。底辺の掃き溜めのようなところに移民がいるのだが、カウリスマキなら、移民そのものに焦点を当てるかと思ったら、フランスを経由してイギリスに行こうとする少年を助けるフランス男の話であった。同じく底辺層にいる男のみせる優しさであった。
ファンタジックなラストだが、感動ものにしないからカウリスマキは好きだ。