いきなり余命わずか決定!?なんで僕が?? 酒もたばこもやらない“普通”の青年アダムに突然告げられた病気は“ガン”だった。27歳という若さで、5年生存率50%のまさかの余命宣告。その日から、アダムの生活環境は一変。よそよそしい会社の同僚たち、看病の重圧に負けそうな恋人、同居を迫る世話焼きの母親…。病気のアダムに気遣って誰も今までどおりに接してくれない!ただ一人、女好きの親友カイルをのぞいては。カイルと一緒に病気を“ネタ”にナンパしたり、新米セラピストのキャサリンと手探りのカウンセリングを通して、“ガン”の日々を笑い飛ばそうとするアダム。しかし刻一刻と進行する病魔に、やがてアダムは平穏を装うことができなくなる・・・。
50/50 2011年
感想
監督はジョナサン・レヴィン。
あら、死なないの・・・。
実は友がガンにかかった。まだ35歳。放射線治療で髪の毛が抜ける。髪が抜けたら、効いてるってことなの。そう言って、薄くなった髪を剃った。ちょうど、アダムと同じ。
手術をして、切除した。化学療法も効果があって、無事に寛解。その過程では常にイライラしていて、周囲に当たり散らした。周囲も周囲だった。ある人は何も言わず立ち去り、ある人は過剰に励ました。私ですら神社でお祈りして、お守りを送った。出雲大社で。「ここの神様はね、大国主命といって何度も殺されたの。そして蘇ったのよ」古事記も日本書紀も知らない人にそう言って送った。私は励まさなかったので、それが良かったらしい。縁は切られなかった。
アダムの手術は成功した。本作はハッピーエンドということになっている。しかし、一度癌に罹患した人は完全に元通りになるわけではない。今でも私はあの穏やかな人とはまた違う存在だと思うことにしている。確かにアダムと同じくまだ生きてはいる。しかし、怯え消えず、化学療法の後遺症に苦しんでいる。アダムは大規模手術をしてそれで終わり?そんなはずはない。その先をきちんと描くべきだった。
人は全て死にゆく存在である。それでも、長寿の家系に生まれた私と、若くしてガンを発症する人が多い家系のあの人では、随分とこの世にとどまる時間が違うだろう。そして、アダムとキャサリンも。