あれ?前作も前前作も書いてると思ったけど、書いてなかったか。機内にて。毎回口をポカーンと開けて見てしまう。悪い意味で。
パディントンを読んで育った俺さま。パディントンが第二次戦中に疎開した子どもがモデルで、それを逆にロンドンに来たという設定なのは知ってた。意外に、「疎開した子ども」が出てくるのが、イギリスの児童文学だったなあと思う。ナルニアも四きょうだいがそう。
これはイギリスの児童文学の一種の伝統的なストーリーの導入で、それ以前にも「秘密の花園」のような南アジアや東南アジアから「帰国」した子どもの話がいくつかある。
対象が大人になっても、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロにも帰国した子どもの話、親が出稼ぎに行った人の話があるし。それが、イギリスという、広大な植民地を支配した国家でこそ成立する導入や設定なのよね。
少し時代が下がって、第二次大戦後が舞台でも、グリーン・ノウは親は東南アジアにいて、自分は寄宿学校にいるトーズランドの話だった。あの子の一族は名門だから、親は何をしてるという設定だったかな。外交官?いずれにせよ、ホームズやポアロに出てくるような、一発逆転を狙って行った人たちではない。
そして、「外国人」という、その国の文化で生まれ育っているわけではない人を使ってその国の文化を茶化すという手法が使えるのも、それが(少なくともかつては)移民国家ではなかったイギリスならでは。これはエルキュール・ポアロがその典型。
その中で、パディントンはクマ。「暗黒の地」と呼ばれたペルーから「この子をよろしく」と書かれた札を下げてパディントン駅に現れ、ブラウン一家に拾われて、イギリスに馴染んでいく…
これね…子どもの頃はなんとも思わなかったのだけど、茶色いクマって褐色の肌をした、メスティーソ(白人と先住民の混血)やムラート(白人と黒人の混血)のことでは…と思うとすごくエグいなと思うようになった。考えすぎということにしておいてくれて十分。
ただ、本作「消えた黄金郷の秘密」も、なんというか。パディントンというIPを使って、ストーリーを展開させなくても、と思ったんだけどやはり「パディントン」ゆえのエグさが出てしまうのかなあ。
パディントンは帰郷するけれどペルーはまるで未開の地として描かれる。そして、言語は英語。老クマホームも宣教師団体の運営らしく、尼僧がいる。どうなんですかね?実際のペルーを知らないから、なんとも言い難いのだけど。(ペルーもアマゾンが大部分を占めるっぽいですね。)
どう物語を「着陸」させるのかハラハラしていたけれど、やっぱりマーマレード・サンドイッチは全てを解決する。いやいやいやいや。
原作の各エピソードを織り交ぜて、舞台をロンドンのままにしてくれた方が…いや、それもエグいし。舞台を現代にしないとすでに時代劇。現代にそのまま持ってくるわけにはいかないしなあ…
まあ、次回作もあるんでしょう。は!?と思いながら見るんだと思う。